第81条第2項第一号ロに規定する限界耐力計算とは、次に定めるところによりする構造計算をいう。
一 地震時を除き、第82条第一号から第三号まで(地震に係る部分を除く。)に定めるところによること。
二 積雪時又は暴風時に、建築物の構造耐力上主要な部分に生ずる力を次の表に掲げる式によつて計算し、当該構造耐力上主要な部分に生ずる力が、それぞれ第四款の規定による材料強度によつて計算した当該構造耐力上主要な部分の耐力を超えないことを確かめること。
荷重及び外力について想定する状態 | 一般の場合 | 第86条第2項ただし書の規定により特定行政庁が指定する多雪区域における場合 | 備考 |
積雪時 | G+P+1.4S | G+P+1.4S | |
暴風時 | G+P+1.6W | G+P+1.6W | 建築物の転倒、柱の引抜き等を検討する場合においては、Pについては、建築物の実況に応じて積載荷重を減らした数値によるものとする。 |
G+P+0.35S+1.6W | |||
この表において、G、P、S及びWは、それぞれ次の力(軸方向力、曲げモーメント、せん断力等をいう。)を表すものとする。 G 第84条に規定する固定荷重によつて生ずる力 P 第85条に規定する積載荷重によつて生ずる力 S 第86条に規定する積雪荷重によつて生ずる力 W 第87条に規定する風圧力によつて生ずる力 |
三 地震による加速度によつて建築物の地上部分の各階に作用する地震力及び各階に生ずる層間変位を次に定めるところによつて計算し、当該地震力が、損傷限界耐力(建築物の各階の構造耐力上主要な部分の断面に生ずる応力度が第3款の規定による短期に生ずる力に対する許容応力度に達する場合の建築物の各階の水平力に対する耐力をいう。以下この号において同じ。)を超えないことを確かめるとともに、層間変位の当該各階の高さに対する割合が1/200(地震力による構造耐力上主要な部分の変形によつて建築物の部分に著しい損傷が生ずるおそれのない場合にあつては、1/120)を超えないことを確かめること。
イ 各階が、損傷限界耐力に相当する水平力その他のこれに作用する力に耐えている時に当該階に生ずる水平方向の層間変位(以下この号において「損傷限界変位」という。)を国土交通大臣が定める方法により計算すること。
ロ 建築物のいずれかの階において、イによつて計算した損傷限界変位に相当する変位が生じている時の建築物の固有周期(以下この号及び第七号において「損傷限界固有周期」という。)を国土交通大臣が定める方法により計算すること。
ハ 地震により建築物の各階に作用する地震力を、損傷限界固有周期に応じて次の表に掲げる式によつて計算した当該階以上の各階に水平方向に生ずる力の総和として計算すること。
Td<0.16の場合 | Pdi=(0.64+6Td)mi Bdi Z Gs |
0.16≦Td<0.64の場合 | Pdi=1.6mi Bdi Z Gs |
0.64≦Tdの場合 | Pdi=(1.024mi Bdi Z Gs)/Td |
この表において、Td、Pdi、mi、Bdi、Z及びGsは、それぞれ次の数値を表すものとする。 Td 建築物の損傷限界固有周期(単位 秒) Pdi 各階に水平方向に生ずる力(単位 kN) mi 各階の質量(各階の固定荷重及び積載荷重との和(第86条第2項ただし書の規定によつて特定行政庁が指定する多雪区域においては、更に積雪荷重を加えたものとする。)を重力加速度で除したもの)(単位 t) Bdi 建築物の各階に生ずる加速度の分布を表すものとして、損傷限界固有周期に応じて国土交通大臣が定める基準に従つて算出した数値 Z 第88条第1項に規定するZの数値 Gs 表層地盤による加速度の増幅率を表すものとして、表層地盤の種類に応じて国土交通大臣が定める方法により算出した数値 |
ニ 各階が、ハによつて計算した地震力その他のこれに作用する力に耐えている時に当該階に生ずる水平方向の層間変位を国土交通大臣が定める方法により計算すること。
四 第88条第4項に規定する地震力により建築物の地下部分の構造耐力上主要な部分の断面に生ずる応力度を第82条第一号及び第二号の規定によつて計算し、それぞれ第3款の規定による短期に生ずる力に対する許容応力度を超えないことを確かめること。
五 地震による加速度によつて建築物の各階に作用する地震力を次に定めるところによつて計算し、当該地震力が保有水平耐力を超えないことを確かめること。
イ 各階が、保有水平耐力に相当する水平力その他のこれに作用する力に耐えている時に当該階に生ずる水平方向の最大の層間変位(以下この号において「安全限界変位」という。)を国土交通大臣が定める方法により計算すること。
ロ 建築物のいずれかの階において、イによつて計算した安全限界変位に相当する変位が生じている時の建築物の周期(以下この号において「安全限界固有周期」という。)を国土交通大臣が定める方法により計算すること。
ハ 地震により建築物の各階に作用する地震力を、安全限界固有周期に応じて次の表に掲げる式によつて計算した当該階以上の各階に水平方向に生ずる力の総和として計算すること。
Ts<0.16の場合 | Psi=(3.2+30Ts)mi Bsi Fh Z Gs |
0.16≦Ts<0.64の場合 | Psi=8mi Bsi Fh Z Gs |
0.64≦Tsの場合 | Psi=(5.12mi Bsi Fh Z Gs)/Ts |
この表において、Ts、Psi、mi、Bsi、Fh、Z及びGsは、それぞれ次の数値を表すものとする。 Ts 建築物の安全限界固有周期(単位 秒) Psi 各階に水平方向に生ずる力(単位 kN) mi 第三号の表に規定するmiの数値 Bsi 各階に生ずる加速度の分布を表すものとして、安全限界固有周期に対応する振動特性に応じて国土交通大臣が定める基準に従つて算出した数値 Fh 安全限界固有周期における振動の減衰による加速度の低減率を表すものとして国土交通大臣が定める基準に従つて算出した数値 Z 第88条第1項に規定するZの数値 Gs 第三号の表に規定するGsの数値 |
六 第82条第四号の規定によること。
七 屋根ふき材、特定天井、外装材及び屋外に面する帳壁が、第三号ニの規定によつて計算した建築物の各階に生ずる水平方向の層間変位及び同号ロの規定によつて計算した建築物の損傷限界固有周期に応じて建築物の各階に生ずる加速度を考慮して国土交通大臣が定める基準に従つた構造計算によつて風圧並びに地震その他の震動及び衝撃に対して構造耐力上安全であることを確かめること。
八 特別警戒区域内における居室を有する建築物の外壁等が、自然現象の種類、最大の力の大きさ等及び土石等の高さ等(当該外壁等の高さが土石等の高さ等未満であるときは、自然現象の種類、最大の力の大きさ等、土石等の高さ等及び当該外壁等の高さ)に応じて、国土交通大臣が定める基準に従つた構造計算によつて当該自然現象により想定される衝撃が作用した場合においても破壊を生じないものであることを確かめること。ただし、第80条の3ただし書に規定する場合は、この限りでない。