2021年|一級建築士の設計製図試験の課題予想【集会スペースのある大学図書館】

一級建築士の設計製図試験の課題発表が、明日に迫りました。

階数指定のない低層階型

令和2年の一級建築士試験の設計製図の課題発表で、もっとも話題になったのは階数指定がないことでした。

6月9日に発表された二級建築士の設計製図試験でも、階数の指定はありませんでした。

試験元の方針として、これからの設計製図試験では事前に階数を指定することはやめ、階数を決定づける設計条件等を問題用紙に記載していくのだと予想します。

可能性は限りなく低いと思いますが、他の設計上検討を満たしてさえいれば、階数を自由とすることもあり得るのかもしれません。


過去の出題傾向を分析すると、2年連続で基準階型の課題になる可能性は低いです。

もっとも近い年度でも、平成20年の「ビジネスホテルとフィットネスクラブからなる複合施設」と平成21年の「貸事務所ビル」までさかのぼります。

令和2年の「高齢者介護施設」では、要求されたものこそ3階建ての建築物でしたが、6〜7階にして計画することも可能な条件だったので、実質的には基準階型の課題だったと言えます。

そうすると、今年は低層階型の課題になると予想できます。

予想される用途は3パターン

過去の課題から、今年の課題は次の3つの用途だと予想します。

  • 図書館
  • 教育施設
  • 事務所ビル

図書館

令和元年と令和2年の課題は、福祉施設と美術館でした。

  • 令和2年 高齢者介護施設
  • 令和元年 美術館の分館

実は、同じような流れで用途が似ている課題が出されたことが、過去にもありました。

  • 平成24年 地域図書館
  • 平成23年 介護老人保険施設
  • 平成22年 小都市に建つ美術館

見比べてみると、今年は「図書館」が課題になりそうな感じがしませんか。

低層階型としても代表的な用途なので、可能性は高いような気がします。

資格学校などでも、2021年の課題は「図書館」だと予想されているようです。

教育施設

教育施設としては、平成25年の「大学のセミナーハウス」や平成17年の「防災学習のできるコミュニティ施設」があげられます。

平成28年に「子ども・子育て支援センター」は出題されていますが、どちらかと言うと福祉施設寄りの建物と言えます。

小学生高学年から大学生くらいを対象にした教育施設で、地域住民も利用できる街に開いた建物はあり得るのではないでしょうか。

事務所ビル

10年以上も出題されていない用途に「事務所」があります。

平成21年の「貸事務所ビル」では、1階に展示用の貸スペース、基準階に一般事務用の貸スペースが要求されました。

最近の流れで言うと、このようなベーシックな事務所ビルというよりは、シェアオフィスのような特徴を持ったタイプの事務所が出されるかもしれません。

一級建築士の設計製図試験の課題を大胆予想!

イチラボの管理人は、今年の課題を次のように予想します。

令和3年一級建築士試験
「設計製図の試験」の課題

課題名
集会スペースのある大学図書館

要求図書
・1階平面図・配置図(縮尺1/200)
・各階平面図(縮尺1/200)
 ※各階平面図については、試験問題中に示す設計条件等において指定します。
・断面図(縮尺1/200)
・面積表
・計画の要点等

(注1)地域住民が利用できる施設及び大学の関係者が利用できる施設で構成する建築物の計画とする。
(注2)「高齢者、障害者等の移動等の円滑化の促進に関する法律」に規定する特別特定建築物の計画とする。
(注3)建築基準法令に適合した建築物の計画(建蔽率、容積率、高さの制限、延焼のおそれのある部分、防火区画、避難施設 等)とする。

建築物の計画に当たっての留意事項
・敷地の周辺環境に配慮して計画する。
・バリアフリー、省エネルギー、セキュリティ等に配慮して計画する。
・各要求室を適切にゾーニングし、明快な動線計画とする。
・建築物全体が、構造耐力上、安全であるとともに、経済性に配慮して計画する。
・構造種別に応じた架構形式及びスパン割りを適切に計画するとともに、適切な断面寸法の部材を計画する。
・空気調和設備、給排水衛生設備、電気設備、昇降機設備等を適切に計画する。

注意事項
「試験問題」及び上記の「建築物の計画に当たっての留意事項」を十分に理解したうえで、「設計製図の試験」に臨むようにして下さい。
なお、建築基準法令や要求図書、主要な要求室等の計画等の設計与条件に対して解答内容が不十分な場合には、「設計条件・要求図面等に対する重大な不適合」等と判断されます。

教育施設である大学の構内にあり、地域住民も利用できる図書館です。

地域住民も利用できるゾーンと大学の関係者(学生、教授など)が利用できるゾーンに分けることで、コミュニティ施設としての側面と教育施設としての側面をあわせ持った建築物になります。

大学の関係者が利用できるゾーンには、小規模な会議室を複数設けることが要求される想定で、シェアオフィス的な要素も含みます。

予想される3パターンの用途を合体させたような建築物で、どれかが当たるだろうという予想になってしまいましたが、なかなか面白そうな課題ではないでしょうか。

類似用途の分析はほどほどに

課題が発表されたら、資格学校や出版社がこぞって予想問題を作成します。

その課題をひとつでも多く手に入れて、いろんなパターンを経験するのが、要求される用途や条件の出題傾向に慣れるのに一番役立ちます。

毎年、過去問の類似用途の分析に必死になる人がいますが、あまり深追いしないようにしましょう。

何年も前、場合によっては10年以上前と今では、同じ用途の課題でも出題背景が異なるので、要求される条件は様変わりしている可能性が高いです。

資格学校や出版社に課題の分析は任せてしまって、自身はエスキスのレベルを上げたりプランニングの引き出しを増やすことに専念するのが吉です。

それでは、これから約3ヶ月、一級建築士の設計製図試験の勉強に励んでください。

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