いよいよ、一級建築士の学科試験まであと1ヶ月になった頃ですね。
最後の1ヶ月の追い込みをがんばりきると、あなたが思っている以上に点数が伸びます!
10点くらい点数が伸びるなんて毎年よく聞きますし、人によっては模試より20点以上高い点数を本番で取ることもあります。
ただ、がむしゃらに勉強するのではなく、最後の1ヶ月こそ、戦略的に試験対策をしていくことが必要です。
総仕上げの方向性を間違えると、今からでも合格に届くはずが実を結ばない…なんてことになりかねません。
学科試験の合格を勝ち取るための3つのポイントを確認していきましょう。
メリハリをつけた試験対策
学科試験の本番まで残り1ヶ月だと、五科目すべてを完璧に仕上げるには無理があります。
割り切って、得点を伸ばす科目と今の点数をキープする科目を区別して、総得点アップに有効な勉強法を取るべきです。
メリハリをつけた試験対策は五科目の得点バランスによるので、総得点が85点の場合をモデルケースとして、5つのタイプで説明します。
総得点85点のモデルケース その1
バランスタイプ
- 計画 14/20点
- 環境・設備 13/20点
- 法規 20/30点
- 構造 22/30点
- 施工 16/25点
特に得意科目も苦手科目もなく、バランスよく6〜7割の点数を取れる人が当てはまります。
最優先科目の法規で+5点以上、次に構造と施工で合わせて+5点、環境・設備で+2点、計画は現状維持とすると、総得点が97点になり、まず間違いなく合格できます。
法規は、残り1ヶ月の時点で20点前後を取れる実力があれば、試験本番に25点以上を取れるようになります。
その次には、問題数が多くて関連性も高い構造と施工に力を入れるのがおすすめです。
総得点85点のモデルケース その2
法規特化タイプ
- 計画 11/20点
- 環境・設備 12/20点
- 法規 28/30点
- 構造 18/30点
- 施工 16/25点
法規が得意科目で満点に近い点数を取れる一方、苦手科目は足切り点ギリギリの点数しか取れない人に当てはまります。(このモデルケースでは、計画と環境・設備を苦手科目としています。)
計画と環境・設備でそれぞれ+2点以上、構造と施工で+8点、法規は現状維持とすると、総得点が97点になり、まず間違いなく合格できます。
試験本番の緊張感で取りこぼしを出してしまっても、足切り点はクリアできるようにするために、全科目で最低でも足切り点+2点を目標にしましょう。
総得点85点のモデルケース その3
意匠設計・設備設計タイプ
- 計画 18/20点
- 環境・設備 17/20点
- 法規 19/30点
- 構造 17/30点
- 施工 14/25点
計画や環境・設備の点数が高く、意匠設計者や設備設計者に多いタイプです。
バランスタイプと同じく、まずは法規に力を入れて+5点以上、構造と施工で合わせて+5点以上、計画と環境・設備は現状維持とすると、総得点が95点以上になり、かなり高い確率で合格できます。
構造力学が6問中2点程度の場合、構造力学だけで+2〜3点を取れるようになると、総得点95点以上はかなり現実的になります。
計画と環境・設備のどちらか一方の点数がもう少し低い場合は、構造と施工でその穴埋めをするのがおすすめです。
総得点85点のモデルケース その4
構造設計タイプ
- 計画 12/20点
- 環境・設備 13/20点
- 法規 18/30点
- 構造 27/30点
- 施工 15/25点
専門分野である構造で確実に得点できる、構造設計者に多いタイプです。
まだまだ得点の余地がある法規で+7点以上、意匠と環境・設備で合わせて+3点、施工で+2点、構造は現状維持とすると、総得点が97点になり、まず間違いなく合格できます。
法規で得点の底上げをすれば、他の科目をそれぞれ1〜2点上げるだけで、合格確定と言っていい点数に達するので、個人的には一番合格に近いタイプと思います。
総得点85点のモデルケース その5
現場監督タイプ
- 計画 12/20点
- 環境・設備 12/20点
- 法規 20/30点
- 構造 18/30点
- 施工 23/25点
現場をよく知っていて施工の点数が高い、ゼネコンや工務店の現場監督に多いタイプです。
まだ伸びしろのある法規で+5点以上、計画と環境・設備で合わせて+3点、構造で+2点以上、施工は現状維持とすると、総得点が95点以上になり、かなり高い確率で合格できます。
意匠設計・設備設計タイプと同じく、構造力学に力を入れて1点でも多く取れるようになると、総得点95点以上はクリアできるはずです。
ミスした問題を全問復習
問題集や模擬試験で間違えてしまったものは、全問復習しておきましょう。
ここで言う復習とは、解説を読んでイチから理解することではありません。
計算問題以外は理解を諦める
構造力学はもちろんですが、環境・設備の照度計算の問題や、法規の面積・高さの制限の計算問題などのは、確実に得点するために理解を深めようと、ある程度の時間をかけるのは有効です。
それでも2週間前を目安に理解のための勉強はほどほどにして、過去問の問題文と選択肢を覚えてしまうくらい、繰りかえし問題集で勉強をするしてください。
この時期になって、計画の近代建築史や実例を暗記しようとするのはやめてください。
範囲が広い割に出題の可能性が低いので、思ったように点数が伸びない原因になりかねません。
総仕上げの方針【模試得点ランク別】
全受験生に共通する総仕上げの第一段階は、全科目で最低でも足切り点は取れるようにすることです。
このレベルを達成できていないのであれば、戦略なんて考えている暇はないので、無心でひたすら勉強してください。
厳しいことを言いますが、残りの1ヶ月で問題集を5周でも10周でもやらなければ、今年の学科試験に合格することは叶わないでしょう。
第一段階の全科目で足切り点クリアに自身がある人は、現状の実力によって総仕上げの方針を決めていきます。
本試験と比べると、模試の難易度は高めに設定されているとよく言われます。
自身の経験や受験生に聞いた話から推測すると、模試より本番のほうが5点くらい点数を取れるはずです。
それも考慮したうえで、各ランクの評価をしていることをご理解ください。
五科目の足切り点を合計した67点以上の点数を取れている人を対象にしています。
ランクC【模試得点67〜79点】
寝る間も惜しんで勉強しなければ、学科試験に合格するのは厳しいです。
今からの逆転合格のためには、直近5年分の過去問を最低でも3周は解きましょう。
残り30日だとすると、二日で一年分を勉強すれば5年分の過去問を3周できます。
正解した問題はさらっと解説を読むくらいにして、不正解だった問題を繰りかえし解くための時間も確保するべきです。
諦めずに最後まで勉強していると、まだ合格できる可能性はあります。
ランクB【模試得点80点代】
もう一段階レベルアップしなければいけませんが、合格圏内に指はかかっています。
苦手意識のせいで学習量が足りていない科目があるなら、これからは重点的に勉強してください。
法規で20点前後までしか取れないのであれば、まとまった時間は法規の勉強に使いましょう。
構造と施工で7割の得点を取れていなければ、十分に勉強すると試験本番で成果が表れる可能性が高いです。
ランクA【模試得点90点代】
学科試験の当日に実力を出せたら、合格基準はクリアできるはず。
試験本番で取りこぼしがないように、全体的に総復習するのがおすすめです。
ランクS【模試得点100点以上】
何も言うことはありません。
今までの勉強法を信じて、最後の総仕上げをしてください。