第112条(防火区画)


 主要構造部を耐火構造とした建築物、法第2条第九号の三イ若しくはロのいずれかに該当する建築物又は第136条の2第一号ロ若しくは第二号ロに掲げる基準に適合する建築物で、延べ面積(スプリンクラー設備、水噴霧消火設備、泡消火設備その他これらに類するもので自動式のものを設けた部分の床面積の1/2に相当する床面積を除く。以下この条において同じ。)が1,500㎡を超えるものは、床面積の合計(スプリンクラー設備、水噴霧消火設備、泡消火設備その他これらに類するもので自動式のものを設けた部分の床面積の1/2に相当する床面積を除く。以下この条において同じ。)1,500㎡以内ごとに1時間準耐火基準に適合する準耐火構造の床若しくは壁又は特定防火設備(第109条に規定する防火設備であつて、これに通常の火災による火熱が加えられた場合に、加熱開始後1時間当該加熱面以外の面に火炎を出さないものとして、国土交通大臣が定めた構造方法を用いるもの又は国土交通大臣の認定を受けたものをいう。以下同じ。)で区画しなければならない。ただし、次の各号のいずれかに該当する建築物の部分でその用途上やむを得ない場合においては、この限りでない。
 劇場、映画館、演芸場、観覧場、公会堂又は集会場の客席、体育館、工場その他これらに類する用途に供する建築物の部分
 階段室の部分等(階段室の部分又は昇降機の昇降路の部分(当該昇降機の乗降のための乗降ロビーの部分を含む。)をいう。第14項において同じ。)で1時間準耐火基準に適合する準耐火構造の床若しくは壁又は特定防火設備で区画されたもの

 前項の「1時間準耐火基準」とは、主要構造部である壁、柱、床、はり及び屋根の軒裏の構造が、次に掲げる基準に適合するものとして、国土交通大臣が定めた構造方法を用いるもの又は国土交通大臣の認定を受けたものであることとする。
 次の表に掲げる建築物の部分にあつては、当該部分に通常の火災による火熱が加えられた場合に、加熱開始後それぞれ同表に定める時間構造耐力上支障のある変形、溶融、破壊その他の損傷を生じないものであること。

間仕切壁(耐力壁に限る。) 1時間
外壁(耐力壁に限る。) 1時間
1時間
1時間
はり 1時間

 壁(非耐力壁である外壁の延焼のおそれのある部分以外の部分を除く。)、床及び屋根の軒裏(外壁によつて小屋裏又は天井裏と防火上有効に遮られているものを除き、延焼のおそれのある部分に限る。)にあつては、これらに通常の火災による火熱が加えられた場合に、加熱開始後1時間当該加熱面以外の面(屋内に面するものに限る。)の温度が可燃物燃焼温度以上に上昇しないものであること。
 外壁(非耐力壁である外壁の延焼のおそれのある部分以外の部分を除く。)にあつては、これに屋内において発生する通常の火災による火熱が加えられた場合に、加熱開始後1時間屋外に火炎を出す原因となる亀裂その他の損傷を生じないものであること。

 主要構造部を耐火構造とした建築物の2以上の部分が当該建築物の吹抜きとなつている部分その他の一定の規模以上の空間が確保されている部分(以下この項において「空間部分」という。)に接する場合において、当該2以上の部分の構造が通常の火災時において相互に火熱による防火上有害な影響を及ぼさないものとして国土交通大臣が定めた構造方法を用いるもの又は国土交通大臣の認定を受けたものである場合においては、当該2以上の部分と当該空間部分とが特定防火設備で区画されているものとみなして、第1項の規定を適用する。

 法第21条第1項の規定により第109条の5第一号に掲げる基準に適合する建築物(通常火災終了時間が1時間以上であるものを除く。)とした建築物、法第27条第1項の規定により第110条第一号に掲げる基準に適合する特殊建築物(特定避難時間が1時間以上であるものを除く。)とした建築物、法第27条第3項の規定により準耐火建築物(第109条の3第二号に掲げる基準又は1時間準耐火基準(第2項に規定する1時間準耐火基準をいう。以下同じ。)に適合するものを除く。)とした建築物、法第61条の規定により第136条の2第二号に定める基準に適合する建築物(準防火地域内にあるものに限り、第109条の3第二号に掲げる基準又は1時間準耐火基準に適合するものを除く。)とした建築物又は法第67条第1項の規定により準耐火建築物等(第109条の3第二号に掲げる基準又は1時間準耐火基準に適合するものを除く。)とした建築物で、延べ面積が500㎡を超えるものについては、第1項の規定にかかわらず、床面積の合計500㎡以内ごとに1時間準耐火基準に適合する準耐火構造の床若しくは壁又は特定防火設備で区画し、かつ、防火上主要な間仕切壁(自動スプリンクラー設備等設置部分(床面積が200㎡以下の階又は床面積200㎡以内ごとに準耐火構造の壁若しくは法第2条第九号の二ロに規定する防火設備で区画されている部分で、スプリンクラー設備、水噴霧消火設備、泡消火設備その他これらに類するもので自動式のものを設けたものをいう。第114条第1項及び第2項において同じ。)その他防火上支障がないものとして国土交通大臣が定める部分の間仕切壁を除く。)を準耐火構造とし、次の各号のいずれかに該当する部分を除き、小屋裏又は天井裏に達せしめなければならない。
 天井の全部が強化天井(天井のうち、その下方からの通常の火災時の加熱に対してその上方への延焼を有効に防止することができるものとして、国土交通大臣が定めた構造方法を用いるもの又は国土交通大臣の認定を受けたものをいう。次号及び第114条第3項において同じ。)である階
 準耐火構造の壁又は法第2条第九号の二ロに規定する防火設備で区画されている部分で、当該部分の天井が強化天井であるもの

 法第21条第1項の規定により第109条の5第一号に掲げる基準に適合する建築物(通常火災終了時間が1時間以上であるものに限る。)とした建築物、法第27条第1項の規定により第110条第一号に掲げる基準に適合する特殊建築物(特定避難時間が1時間以上であるものに限る。)とした建築物、法第27条第3項の規定により準耐火建築物(第109条の3第二号に掲げる基準又は1時間準耐火基準に適合するものに限る。)とした建築物、法第61条の規定により第136条の2第二号に定める基準に適合する建築物(準防火地域内にあり、かつ、第109条の3第二号に掲げる基準又は1時間準耐火基準に適合するものに限る。)とした建築物又は法第67条第1項の規定により準耐火建築物等(第109条の3第二号に掲げる基準又は1時間準耐火基準に適合するものに限る。)とした建築物で、延べ面積が1,000㎡を超えるものについては、第1項の規定にかかわらず、床面積の合計1,000㎡以内ごとに1時間準耐火基準に適合する準耐火構造の床若しくは壁又は特定防火設備で区画しなければならない。

 前2項の規定は、次の各号のいずれかに該当する建築物の部分で、天井(天井のない場合においては、屋根。以下この条において同じ。)及び壁の室内に面する部分の仕上げを準不燃材料でしたものについては、適用しない。
 体育館、工場その他これらに類する用途に供する建築物の部分
 第1項第二号に掲げる建築物の部分

 建築物の11階以上の部分で、各階の床面積の合計が100㎡を超えるものは、第1項の規定にかかわらず、床面積の合計100㎡以内ごとに耐火構造の床若しくは壁又は法第2条第九号の二ロに規定する防火設備で区画しなければならない。

 前項の建築物の部分で、当該部分の壁(床面からの高さが1.2m以下の部分を除く。次項及び第14項第一号において同じ。)及び天井の室内に面する部分(回り縁、窓台その他これらに類する部分を除く。以下この条において同じ。)の仕上げを準不燃材料でし、かつ、その下地を準不燃材料で造つたものは、特定防火設備以外の法第2条第九号の二ロに規定する防火設備で区画する場合を除き、前項の規定にかかわらず、床面積の合計200㎡以内ごとに区画すれば足りる。

 第7項の建築物の部分で、当該部分の壁及び天井の室内に面する部分の仕上げを不燃材料でし、かつ、その下地を不燃材料で造つたものは、特定防火設備以外の法第2条第九号の二ロに規定する防火設備で区画する場合を除き、同項の規定にかかわらず、床面積の合計500㎡以内ごとに区画すれば足りる。

10 前3項の規定は、階段室の部分若しくは昇降機の昇降路の部分(当該昇降機の乗降のための乗降ロビーの部分を含む。)、廊下その他避難の用に供する部分又は床面積の合計が200㎡以内の共同住宅の住戸で、耐火構造の床若しくは壁又は特定防火設備(第七項の規定により区画すべき建築物にあつては、法第2条第九号の二ロに規定する防火設備)で区画されたものについては、適用しない。

11 主要構造部を準耐火構造とした建築物又は第136条の2第一号ロ若しくは第二号ロに掲げる基準に適合する建築物であつて、地階又は3階以上の階に居室を有するもののたて穴部分(長屋又は共同住宅の住戸でその階数が2以上であるもの、吹抜きとなつている部分、階段の部分(当該部分からのみ人が出入りすることのできる便所、公衆電話所その他これらに類するものを含む。)、昇降機の昇降路の部分、ダクトスペースの部分その他これらに類する部分をいう。以下この条において同じ。)については、当該たて穴部分以外の部分(直接外気に開放されている廊下、バルコニーその他これらに類する部分を除く。次項及び第13項において同じ。)と準耐火構造の床若しくは壁又は法第2条第九号の二ロに規定する防火設備で区画しなければならない。ただし、次の各号のいずれかに該当するたて穴部分については、この限りでない。
 避難階からその直上階又は直下階のみに通ずる吹抜きとなつている部分、階段の部分その他これらに類する部分でその壁及び天井の室内に面する部分の仕上げを不燃材料でし、かつ、その下地を不燃材料で造つたもの
 階数が3以下で延べ面積が200㎡以内の一戸建ての住宅又は長屋若しくは共同住宅の住戸のうちその階数が3以下で、かつ、床面積の合計が200㎡以内であるものにおける吹抜きとなつている部分、階段の部分、昇降機の昇降路の部分その他これらに類する部分

12 3階を病院、診療所(患者の収容施設があるものに限る。次項において同じ。)又は児童福祉施設等(入所する者の寝室があるものに限る。同項において同じ。)の用途に供する建築物のうち階数が3で延べ面積が200㎡未満のもの(前項に規定する建築物を除く。)のたて穴部分については、当該たて穴部分以外の部分と間仕切壁又は法第2条第九号の二ロに規定する防火設備で区画しなければならない。ただし、居室、倉庫その他これらに類する部分にスプリンクラー設備その他これに類するものを設けた建築物のたて穴部分については、当該防火設備に代えて、10分間防火設備(第109条に規定する防火設備であつて、これに通常の火災による火熱が加えられた場合に、加熱開始後十分間当該加熱面以外の面に火炎を出さないものとして、国土交通大臣が定めた構造方法を用いるもの又は国土交通大臣の認定を受けたものをいう。第19項及び第121条第4項第一号において同じ。)で区画することができる。

13 3階を法別表第1(い)欄(2)項に掲げる用途(病院、診療所又は児童福祉施設等を除く。)に供する建築物のうち階数が3で延べ面積が200㎡未満のもの(第11項に規定する建築物を除く。)のたて穴部分については、当該たて穴部分以外の部分と間仕切壁又は戸(ふすま、障子その他これらに類するものを除く。)で区画しなければならない。

14 たて穴部分及びこれに接する他のたて穴部分(いずれも第1項第一号に該当する建築物の部分又は階段室の部分等であるものに限る。)が次に掲げる基準に適合する場合においては、これらのたて穴部分を一のたて穴部分とみなして、前3項の規定を適用する。
 当該たて穴部分及び他のたて穴部分の壁及び天井の室内に面する部分の仕上げが準不燃材料でされ、かつ、その下地が準不燃材料で造られたものであること。
 当該たて穴部分と当該他のたて穴部分とが用途上区画することができないものであること。

15 第12項及び第13項の規定は、火災が発生した場合に避難上支障のある高さまで煙又はガスの降下が生じない建築物として、壁及び天井の仕上げに用いる材料の種類並びに消火設備及び排煙設備の設置の状況及び構造を考慮して国土交通大臣が定めるもののたて穴部分については、適用しない。

16 第1項若しくは第4項から第6項までの規定による1時間準耐火基準に適合する準耐火構造の床若しくは壁(第4項に規定する防火上主要な間仕切壁を除く。)若しくは特定防火設備、第7項の規定による耐火構造の床若しくは壁若しくは法第2条第九号の二ロに規定する防火設備又は第11項の規定による準耐火構造の床若しくは壁若しくは同号ロに規定する防火設備に接する外壁については、当該外壁のうちこれらに接する部分を含み幅90cm以上の部分を準耐火構造としなければならない。ただし、外壁面から50cm以上突出した準耐火構造のひさし、床、袖壁その他これらに類するもので防火上有効に遮られている場合においては、この限りでない。

17 前項の規定によつて準耐火構造としなければならない部分に開口部がある場合においては、その開口部に法第2条第九号の二ロに規定する防火設備を設けなければならない。

18 建築物の一部が法第27条第1項各号、第2項各号又は第3項各号のいずれかに該当する場合においては、その部分とその他の部分とを1時間準耐火基準に適合する準耐火構造とした床若しくは壁又は特定防火設備で区画しなければならない。ただし、国土交通大臣が定める基準に従い、警報設備を設けることその他これに準ずる措置が講じられている場合においては、この限りでない。

19 第1項、第4項、第5項、第10項又は前項の規定による区画に用いる特定防火設備、第7項、第10項、第11項又は第12項本文の規定による区画に用いる法第2条第九号の二ロに規定する防火設備、同項ただし書の規定による区画に用いる10分間防火設備及び第13項の規定による区画に用いる戸は、次の各号に掲げる区分に応じ、それぞれ当該各号に定める構造のものとしなければならない。
 第1項本文、第4項若しくは第5項の規定による区画に用いる特定防火設備又は第7項の規定による区画に用いる法第2条第九号の二ロに規定する防火設備 次に掲げる要件を満たすものとして、国土交通大臣が定めた構造方法を用いるもの又は国土交通大臣の認定を受けたもの
 常時閉鎖若しくは作動をした状態にあるか、又は随時閉鎖若しくは作動をできるものであること。
 閉鎖又は作動をするに際して、当該特定防火設備又は防火設備の周囲の人の安全を確保することができるものであること。
 居室から地上に通ずる主たる廊下、階段その他の通路の通行の用に供する部分に設けるものにあつては、閉鎖又は作動をした状態において避難上支障がないものであること。
 常時閉鎖又は作動をした状態にあるもの以外のものにあつては、火災により煙が発生した場合又は火災により温度が急激に上昇した場合のいずれかの場合に、自動的に閉鎖又は作動をするものであること。
 第1項第二号、第10項若しくは前項の規定による区画に用いる特定防火設備、第10項、第11項若しくは第12項本文の規定による区画に用いる法第2条第九号の二ロに規定する防火設備、同項ただし書の規定による区画に用いる10分間防火設備又は第13項の規定による区画に用いる戸 次に掲げる要件を満たすものとして、国土交通大臣が定めた構造方法を用いるもの又は国土交通大臣の認定を受けたもの
 前号イからハまでに掲げる要件を満たしているものであること。
 避難上及び防火上支障のない遮煙性能を有し、かつ、常時閉鎖又は作動をした状態にあるもの以外のものにあつては、火災により煙が発生した場合に自動的に閉鎖又は作動をするものであること。

20 給水管、配電管その他の管が第1項、第4項から第6項まで若しくは第18項の規定による1時間準耐火基準に適合する準耐火構造の床若しくは壁、第7項若しくは第10項の規定による耐火構造の床若しくは壁、第11項本文若しくは第16項本文の規定による準耐火構造の床若しくは壁又は同項ただし書の場合における同項ただし書のひさし、床、袖壁その他これらに類するもの(以下この条において「準耐火構造の防火区画」という。)を貫通する場合においては、当該管と準耐火構造の防火区画との隙間をモルタルその他の不燃材料で埋めなければならない。

21 換気、暖房又は冷房の設備の風道が準耐火構造の防火区画を貫通する場合(国土交通大臣が防火上支障がないと認めて指定する場合を除く。)においては、当該風道の準耐火構造の防火区画を貫通する部分又はこれに近接する部分に、特定防火設備(法第2条第九号の二ロに規定する防火設備によつて区画すべき準耐火構造の防火区画を貫通する場合にあつては、同号ロに規定する防火設備)であつて、次に掲げる要件を満たすものとして、国土交通大臣が定めた構造方法を用いるもの又は国土交通大臣の認定を受けたものを国土交通大臣が定める方法により設けなければならない。
 火災により煙が発生した場合又は火災により温度が急激に上昇した場合に自動的に閉鎖するものであること。
 閉鎖した場合に防火上支障のない遮煙性能を有するものであること。


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